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 6 : ノクのテラコッタ(ナイジェリア)

日本の縄文時代には土偶、古墳時代には埴輪の文化があります。同じ頃のナイジェリアには非常に洗練された造形の素焼きの人物や動物の像があります。ナイジェリアのほぼ中央に位置する「ノク」という場所で最初に発見されたことからノクのテラコッタと呼ばれています。サハラ以南のアフリカで現存する最古の造形として貴重な資料であると同時に、鑑賞に値する力強い美術品です。これまでにも展覧会などでご紹介してきましたが、改めてこのノクのテラコッタをとりあげます。

発見

最初に発見されたのは 1928 年にスズの採掘が盛んだったノク地方で見つかったサルの頭をかたどったものでした。そして 1943 年ノクより少し北東に位置するジェマという場所で人間の頭をかたどった見事なテラコッタが見つかりました。その後各採掘場から収集されることになりましたが、その価値が認められるまでにはさらに時間がかかりました。

年代

テルモルミネッサンス・テストという鑑定法により、これらのテラコッタが作られたのは紀元前 10 世紀から紀元後 5 世紀だとわかりました。
サハラ以南のアフリカ社会は文字を持たず、古い時代の歴史は知られていませんでしたが、ノクのテラコッタの発見によって当時の人々の暮らしが想像できるようになりました。またノクのテラコッタの様式は、その後に続くイフェ文化やヨルバ族の彫刻に受け継がれていることもわかりました。


様式

人物像の場合、大きさは 10 センチくらいのものから 1 メートルを超えるものまであります。 3 〜 4 頭身のプロポーションで、台座の上に立っているか座っている形式は後のアフリカ彫刻と一致します。顔では目の表現が大きな特徴です。三角形の目に瞳は丸い穴を貫通させています。髪型は非常に多種多様で、複雑に編まれた髪や、帽子を着用しているものも見られます。またネックレスや腕輪などの装身具をふんだんに身につけていて、当時の人々のお洒落への関心の高さがうかがえます。

使用目的

ノクのテラコッタは何のために作られたのでしょうか。発見の現場からはいっさい人骨が見つかっていないことから葬儀や副葬品とは関連がないとされています。最近の研究では宗教的な儀式に使われたと考えられています。右に紹介するイラストは研究者( Bernard de Grunne )がナイジェリアのイフェ文化やイボ族の祭壇を参考に作成したノクの神殿です。テラコッタの像は王族、神官、占い師など高位の人物を表したもので、人々はそれらを神格化して祈りを捧げたのでしょう。 20 世紀に発見されたばかりのこれらのテラコッタは今後のさらなる研究が待たれます。

今回写真でご紹介したノクのテラコッタのいくつかは
ギャラリーかんかん本店で取り扱っています。

参考文献

「 Nok terracottas 」 Bernard Fagg, The Nigerian Museum, Lagos, and Ethnographica Ltd., Great Britain, 1977
「 The Birth of Art in Black Africa 」 Bernard de Grunne, Adam Biro, Paris, 1998

ノクのテラコッタ  
髪型や髪飾りの洗練された美しさが魅力的です。
H28cm
 
ノクのテラコッタ ノクのテラコッタ  
 男女一対になっています。
(左が女性、右が男性) H34cm
 
H 39cm  
ノクの神殿  
ノクの神殿(予想図)  
ノクのテラコッタ
H 13.5cm
ノクのテラコッタ
  お守りとして身につけられていたもの。ひもを通す穴があります。
H 6cm
ノクのテラコッタ
H 9.5cm


ノクのテラコッタ
  ネコ科の動物でしょうか。動物の表情も豊かです。
H 11cm
ノクのテラコッタ
H 11cm
ノクのテラコッタ
  人間の顔と鳥のくちばしが合わされています。
H 11.5cm
ノクのテラコッタ
H 17cm

ノクのテラコッタ
  ヘビを思わせる動物の頭部
L 10cm
ノクのテラコッタ
L 11cm  H 8.5cm
ノクのテラコッタ
H 21cm
ノクのテラコッタ
H 16cm
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