かんかんプレス

  kankan press back number
  1  2  3  4  5  6  7
  8
  9  10  11 12

 11 ・ アシャンティ族の櫛 (ガーナ)

アフリカの女性は皆大変おしゃれです。髪型や衣服、装飾品には目をみはるものがあります。約 2000 年前に作られたナイジェリア、ノク地方のテラコッタの人物像にも洗練されたさまざまな髪型が見られ、当時の人々の身なりに対する心意気が伝わってきます。現在のアフリカでも女性は髪型の美しさを競うように美容師に髪をセットしてもらったり、女性同士で時間をかけて髪を編んだりします。
下のイラストは 1874 年にロンドンの新聞に掲載されたガーナのファンティ族の女性の髪型ですが、どれも創造性に富んだ髪型ばかりです。アシャンティ族の女性もおしゃれに関しては引けをとりません。さらにアシャンティ族は芸術的な素晴らしい木彫の櫛を持っていることで知られています。
            ファンティ族の女性の髪型
               ファンティ族の女性の髪型( 19 世紀)

アシャンティ族では櫛は女性の持ち物です。右の写真のように母娘、姉妹、友人同士で髪を結います。写真では伝統的な木彫の櫛で髪を留め、ヨーロッパの櫛を使って髪を整えようとしています。
櫛については 17 世紀、 18 世紀の文献に記述があります。その頃の櫛は小さくシンプルなものでした。 17 世紀には櫛の目は2本だけで、髪に櫛を留めておくことができたといいます。櫛の目は指の長さ位のものでした。当時の人々はシラミに悩まされていたため、櫛はシラミを掻き出すのにも使われました。また人に会うと髪に留めている櫛をはずして挨拶をするという習慣もありました。 18 世紀には櫛の目は3〜4本に増え、編みこんだ髪に一つ、または二つの櫛を留めていたといいます。

 

アシャンティ族の櫛
H : 25cm
髪を編んでもらう女性
髪を編んでもらう女性( 19 世紀後半)
  今日知られている櫛は大きく、長さは 10 〜 45cm 、幅は 3 〜 30cm にもなります。大きすぎて髪に留めることはできなくなりました。
このような櫛は女性が彫り師に注文する場合もありますが、ほとんどの場合は男性から女性への贈り物です。
父から娘へ、息子から母へ、男性から妻や恋人へ、成人式や結婚、出産など特別な出来事の記念として、また伝統的な祭りやキリスト教の祭りの記念として櫛が贈られます。
二人の関係が櫛の図柄にも反映され、男女をモチーフとした櫛は多く見られます。
アシャンティ族の櫛 アシャンティ族の櫛 アシャンティ族の櫛
H : 24cm
男女をモチーフとした櫛。
ヨーロッパの影響を受けて表側にはハート、
裏側には十字架の図柄が見られます。
二つのハートがつながっているのも
よく見られる図柄です。

H : 33cm

男女が触れ合っている図柄のこの櫛は
「男は妻を養うため懸命に働く」という
ことわざを表しています。

H :34cm

人物がゲーム盤と椅子を持ち上げている図柄です。
人物の両側にはアカンの分銅にも見られる
“賢者の結び目”の図柄が見られます。

アシャンティ族の櫛 アシャンティ族の櫛 アシャンティ族の櫛 アシャンティ族の櫛
H : 27.5cm

アシャンティの子宝を願う人形“アクアバ”をイメージさせる櫛。
アクアバと同様、子宝を願う気持ちを込めて夫から妻に贈られます。
H21cm

アクアバをイメージさせる櫛。
アクアバは広い額と長い首をもつアシャンティ族の理想の美しい女性を表しています。
H26cm

アクアバ、スツール、
“賢者の結び目”を表した櫛。
H27cm

鳥、“賢者の結び目”を表しています。後ろを振り向く鳥(サンコファ)はアシャンティ族のことわざで「過去の過ちを正せ」という意味がり、将来のことを決める前に過去を振り返れという教訓です。
                   
Tokyo KANKAN.co.ltd
All Right Reserved,Copyright2000-2006
お問い合わせはinfo@kankan.co.jp